【2026年10月14日必着】診療報酬改定・施設基準の届出|対象と減収を防ぐ確認ポイントを堺市の税理士が解説

※2026年10月4日時点の公表情報に基づいています。
対象の施設基準は、10月14日までの届出を確認しましょう
令和8年度診療報酬改定に伴い、一部の施設基準に設けられていた経過措置が、2026年9月30日で終了しました。対象項目を10月以降も引き続き算定する医療機関は、改定後の要件を満たしたうえで、必要な届出を行う必要があります。近畿厚生局が案内する提出期限は、2026年10月14日(水)必着です。
「以前に届け出ているから大丈夫」「毎月請求しているので、そのまま算定できる」と考えていると、届出直しが必要な項目を見落とすおそれがあります。
ただし、すべての病院・診療所・歯科診療所に、一律に届出直しが必要なわけではありません。まずは、自院が今回の対象に該当するかを確認することが重要です。
今回は、院長先生・事務長・医事担当者が確認したい手続きと、診療収益を守るための管理ポイントを整理します。
1.施設基準の経過措置が終了すると、何が変わる?
施設基準とは、一定の診療報酬を算定するために求められる、人員配置、設備、診療体制、実績などの条件です。
診療報酬改定で条件が変更された際には、医療機関が対応するための期間として、経過措置が設けられることがあります。
今回の対象については、9月30日まで認められていた取扱いを前提に、10月以降も自動的に算定を継続できるとは限りません。
改定後の要件を満たしているかという確認と、届出直しが必要かという確認を、両方行いましょう。
2.10月1日に遡って算定するには、提出と受理の条件がある
今回の対象届出については、次の条件を満たす場合に、10月1日に遡って算定できる取扱いが示されています。
- 2026年10月14日までに届出書が提出されていること
- 2026年10月末日までに要件審査が終了し、届出が受理されること
期限内に書類を送るだけで、10月1日からの算定が確定するわけではありません。
要件を満たし、審査・受理まで完了する必要があります。書類の不足や記載内容の確認に対応できるよう、早めに提出しましょう。
また、この遡及の取扱いは、今回の経過措置に係る対象届出に限られます。他の施設基準の届出にも、同じ期限や取扱いが適用されるわけではありません。
3.自院が対象かどうかは、3月31日時点の届出状況も確認する
今回の対象判定では、現在の算定項目だけでなく、2026年3月31日時点の届出状況と、項目ごとの対象条件を確認する必要があります。
改定前後で名称や区分が変わっている項目もあるため、現在の名称だけを見て判断せず、公式資料の「届出対象」と「10月1日以降に算定する施設基準」を照合してください。
対象項目の例として、次のものが挙げられています。
- 急性期一般入院基本料1~5
- 療養病棟入院料2
- 回復期リハビリテーション病棟入院料2~4
- 外来腫瘍化学療法診療料1
- 周術期栄養管理実施加算
上記は対象項目の一部であり、名称だけで個別の届出要否を確定するものではありません。対象となる病棟や改定前の届出区分などの詳細は、記事末尾の公式資料をご確認ください。
無床診療所・歯科診療所も、一律に対象とは限りません
「医療機関向けの案内だから、すべてのクリニックが提出しなければならない」という理解は適切ではありません。
自院の届出項目と今回の対象一覧を照合し、該当する手続きがあるか確認しましょう。
なお、厚生労働省の事務連絡には、届出が必要な項目とは別に、10月以降の算定に注意が必要な項目も参考として掲載されています。今回の届出対象に該当しないことだけで、すべての算定要件の確認が済んだと判断しないようにしてください。
4.院内で進めたい、届出の確認手順
① 届出内容と、実際の請求項目を照合する
過去の届出書や受理通知、厚生局が公表する届出受理状況などを確認します。3月31日時点の届出内容と、その後の変更履歴も整理しましょう。
そのうえで、レセプトで実際に請求している項目との対応を確認します。届出に使う名称と、院内で使っている略称が異なる場合にも注意が必要です。
② 改定後の要件を、資料で確認する
対象項目について、最新の通知に沿って、人員・勤務体制、実績値、院内指針などの必要事項を確認します。
「対応しているつもり」で終わらせず、要件を満たしていることを説明できる記録や資料をそろえることが大切です。確認方法や実績の対象期間に疑問があれば、管轄厚生局へ確認してください。
③ 対象項目に指定された様式を用意する
近畿厚生局の案内には、対象項目ごとの様式が掲載されています。以前の届出書をそのまま流用せず、今回必要な様式を確認しましょう。
厚生労働省の事務連絡では、今回の対象届出について、施設基準ごとの全様式ではなく、必要最小限の様式の提出を求める趣旨が示されています。指定された書類に不足がないよう準備してください。
④ 期限までの到着・提出を確認する
近畿厚生局では、郵送または電子申請による提出が案内されています。届出書は1通で、副本の提出は不要とされています。
郵送の場合は、10月14日に発送すればよいのではなく、同日までに到着する必要があります。配送状況を確認できる方法で、余裕を持って発送しましょう。
電子申請を利用する場合は、システムの利用方法を確認し、提出完了を示す記録を保存してください。
⑤ 受理内容と、請求設定まで確認する
提出した書類の控えを保存し、厚生局から照会や補正の依頼があれば速やかに対応します。
受理された区分と算定開始日を確認し、レセプトの請求設定にも反映しましょう。「書類を提出した」で管理を終了せず、適切に請求できる状態まで確認することが重要です。
5.新しい要件を満たせない場合の対応
近畿厚生局は、施設基準の要件を満たしていない場合には、速やかに辞退の届出を行うよう案内しています。
届出書の提出によって、要件を満たしていない状態が解消されるわけではありません。
要件への対応が難しい場合や、期限に間に合わないおそれがある場合は、所在地を管轄する厚生局の担当窓口へ早めに相談してください。
別区分の届出が可能か、いつから算定できるか、既に行った請求への対応が必要かなどは、個別の状況に応じて確認する必要があります。
6.税理士の視点:届出の確認を、収益と資金繰りの管理につなげる
ここからは、医療機関の経営管理としての提案です。
対象項目の算定を継続できない可能性がある場合は、手続きの確認と並行して、収益への影響も試算しましょう。
収益への影響を把握するための仮定例
算定できないことによる収入差額を1件当たり1,000円、月間の対象件数を200件と仮定すると、月間の収益への影響は20万円です。
※実際の診療報酬点数を示したものではありません。影響額は、対象項目の算定単位、対象件数、代わりに算定できる区分などを確認して計算してください。
収益が減少しても、給与・家賃・借入返済などの支出はすぐには減りません。診療報酬の入金時期を踏まえ、資金繰りへの影響も確認することをおすすめします。
また、要件を満たすために追加の人員配置や体制整備が必要な場合には、維持できる診療収益と、継続して発生する費用を合わせて検討することが大切です。
施設基準の管理を、担当者の記憶に頼らない仕組みに
今回の確認を機に、施設基準ごとの担当者、確認期限、必要資料、提出日、受理日、次回確認日を一元管理すると、届出漏れを防ぎやすくなります。
担当者が交代した際も引き継げるよう、届出書・受理通知・要件確認資料の保存場所を統一し、院長先生と医事担当者が進捗を共有できる状態にしておきましょう。
7.院長先生が今日、院内で確認したいこと
施設基準の届出・最終チェック
- 3月31日時点の届出状況と、今回の対象条件を照合したか
- 10月以降に算定する区分と、その要件を確認したか
- 要件を説明できる記録・資料がそろっているか
- 指定された最新様式を準備したか
- 10月14日までの到着・提出を確認できるか
- 提出後の照会・補正に対応する担当者を決めたか
- 受理内容と算定開始日を確認する段取りがあるか
- 請求設定と、収益・資金繰りへの影響を確認したか
大阪・堺市をはじめ、近畿厚生局の管轄地域にある医療機関は、公式案内と自院の届出内容を早めに照合してください。他地域の医療機関は、所在地を管轄する地方厚生局の提出先・提出方法なども確認しましょう。
対象判定、要件確認、届出、受理確認、請求設定までを確実に進めることが、診療収益を守る一歩になります。
出典・確認資料
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近畿厚生局「令和8年9月30日に経過措置の期限が到来する施設基準に係る届出について」
(2026年9月25日付) -
厚生労働省「令和8年度診療報酬改定において経過措置を設けた施設基準の取扱いについて」
(2026年9月10日付事務連絡)
本記事は、上記の行政資料を基に、一ノ瀬公認会計士・税理士事務所が独自に編集・解説したものです。行政機関が作成した記事ではありません。経営管理に関する提案と数値例は、当事務所による独自の説明です。個別の届出要否・要件の充足・算定可否については、最新の通知と管轄厚生局の案内をご確認ください。
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