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【2027年1月改正】法定調書の電子提出が30枚以上に|源泉徴収票のみなし提出も税理士が解説

2026.10.06
2027年法定調書 一ノ瀬公認会計士・税理士事務所

【2027年1月改正】法定調書の電子提出が30枚以上に|源泉徴収票のみなし提出も税理士が解説

2026年も年末調整の時期が近づいてきました。

会社や個人事業主の方に、今年の年末調整からぜひ確認していただきたいのが、2027年(令和9年)1月から始まる法定調書の提出方法の変更です。

【結論】法定調書の電子提出義務が「100枚以上」から「30枚以上」へ拡大します

2027年1月1日以後に提出する法定調書について、前々年に提出すべきだった同じ種類の法定調書が30枚以上の場合には、原則としてe-Tax等による電子的な提出が必要になります。

さらに2027年1月からは、市区町村へ一定の事項を記載した給与支払報告書を提出することで、税務署へ給与所得の源泉徴収票を提出したものとみなす制度も始まります。

今回の変更は、単に「紙で提出できる会社が減る」というだけではありません。

給与所得の源泉徴収票と給与支払報告書の提出方法も変わるため、年末調整が本格化する前に、自社の提出ルートを確認しておくことが重要です。

1.そもそも法定調書とは?

法定調書とは、給与や一定の報酬、不動産の賃料などを支払った事業者が、法律に基づいて税務署へ提出する書類です。

会社や個人事業主に関係する代表的な法定調書には、次のようなものがあります。

  • 給与所得の源泉徴収票
  • 退職所得の源泉徴収票・特別徴収票
  • 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
  • 不動産の使用料等の支払調書
  • 不動産等の譲受けの対価の支払調書
  • 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書

会社員の方にも身近なのが「給与所得の源泉徴収票」です。

一方、会社側では給与だけでなく、税理士などへの一定の報酬や不動産関係の支払いについても、法定調書の提出が必要になる場合があります。

2.2027年1月から「100枚以上」から「30枚以上」へ

今回の改正で特に重要なのが、法定調書の電子提出義務の判定基準が引き下げられることです。

【表1】法定調書の電子提出義務基準の比較

比較項目 改正前 2027年1月1日以後
電子提出義務の枚数基準 前々年に提出すべきだった同種類の法定調書が100枚以上 前々年に提出すべきだった同種類の法定調書が30枚以上
枚数を判定する単位 法定調書の種類ごと 法定調書の種類ごと
基準以上となった場合の提出方法 e-Tax等による電子的な提出 e-Tax等による電子的な提出

これまで「100枚以上」だった基準が「30枚以上」まで引き下げられるため、これまで電子提出義務の対象外だった中小企業やクリニックでも、対象になる可能性があります。

3.2027年提出分は「2025年」の枚数を確認

ここは非常に間違えやすいポイントです。

2027年に実際に何枚提出するかだけで判定するわけではありません。

2027年1月1日以後に提出する法定調書については、原則として前々年である2025年に提出すべきだった同じ種類の法定調書の枚数によって電子提出義務を判定します。

したがって、2027年1月の提出に向けて最初に確認したいのは、2025年に提出すべきだった法定調書の枚数です。

【具体例】

2025年に提出すべきだった「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」が35枚だったとします。

この場合、2027年に提出する同じ種類の法定調書については、原則として電子的な方法による提出が必要になります。

4.「会社全体で30枚」ではない点に注意

もう一つ重要なのが、30枚の判定は法定調書の種類ごとに行うという点です。

給与所得の源泉徴収票、報酬関係の支払調書、不動産関係の支払調書などを全部合計して30枚以上かどうかを判断するわけではありません。

【表2】「30枚基準」の正しい判定方法

判定項目 正しい判定方法 間違えやすい判定方法
30枚の数え方 法定調書の種類ごとに確認する すべての種類を合計して30枚以上か確認する
2027年提出分の基準となる年 原則として2025年の提出すべき枚数 2027年に作成する予定枚数だけを見る
給与関係の確認 提出すべきだった源泉徴収票の枚数を確認する 現在の従業員数だけを見る

5.2027年1月から「源泉徴収票のみなし提出」がスタート

今回の変更でもう一つ重要なのが、給与所得の源泉徴収票の「みなし提出」です。

2027年1月1日以後、市区町村へ源泉徴収票に記載すべき一定の事項を記載した給与支払報告書を提出した場合には、税務署へ給与所得の源泉徴収票を提出したものとみなされます。

【2027年1月以後の基本イメージ】

市区町村へ一定の給与支払報告書を提出
↓
一定の要件を満たす
↓
税務署へ給与所得の源泉徴収票を提出したものとみなされる

給与関係について、税務署と市区町村へ重複して情報を提出する事務負担を減らすことにつながります。

6.従業員に渡す源泉徴収票は引き続き必要

ここは特に注意が必要です。

「みなし提出」=源泉徴収票そのものを作成しなくてよい、という意味ではありません。

従業員本人へ交付する給与所得の源泉徴収票については、引き続き作成・交付が必要です。

【表3】2027年1月以後の給与関係書類の取扱い

書類の名称 提出先・交付先 2027年1月以後の取扱い
給与支払報告書 市区町村 引き続き提出が必要
給与所得の源泉徴収票(税務署提出分) 税務署 一定の給与支払報告書を提出した場合、税務署へ提出したものとみなされる
給与所得の源泉徴収票(本人交付分) 従業員本人 引き続き作成・交付が必要

7.給与関係だけなら法定調書合計表の提出も不要になる場合がある

実務担当者にぜひ確認していただきたいのが、給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の取扱いです。

2027年1月以後、給与支払報告書の提出により給与所得の源泉徴収票がみなし提出となる場合、給与所得の源泉徴収票について法定調書合計表を税務署へ提出する必要もなくなります。

ただし、給与以外に税務署へ提出すべき法定調書がある場合は別です。

【表4】法定調書合計表の提出要否

提出する法定調書の状況 法定調書合計表の取扱い 確認すべきポイント
給与所得の源泉徴収票だけで、給与支払報告書によるみなし提出となる場合 給与所得の源泉徴収票については税務署への提出不要 給与以外の提出対象となる法定調書がないか確認する
報酬・料金等の支払調書を税務署へ提出する場合 法定調書合計表の提出が必要 報酬関係の提出対象者・提出基準を確認する
不動産関係等の支払調書を税務署へ提出する場合 法定調書合計表の提出が必要 不動産関係等の法定調書の提出要否を確認する
【注意】

源泉徴収票のみなし提出が始まるからといって、すべての法定調書や法定調書合計表が不要になるわけではありません。

8.従来のeLTAXによる一元化との違い

これまで給与関係では、eLTAXを利用して給与支払報告書と給与所得の源泉徴収票を電子的に一元提出する仕組みが利用されてきました。

この従来の一元化機能は2026年9月をもって終了しています。

2027年1月からは、市区町村へ一定の給与支払報告書を提出することで、一定の要件のもと、税務署への給与所得の源泉徴収票も提出したものとみなす仕組みに移行します。

【表5】給与支払報告書・源泉徴収票の提出方法の変更

比較項目 従来の取扱い 2027年1月以後の取扱い
給与支払報告書 市区町村へ提出 市区町村へ提出
給与所得の源泉徴収票(税務署提出分) 税務署への提出が必要 一定の給与支払報告書を提出すれば、税務署へ提出したものとみなされる
eLTAXによる電子的提出の一元化機能 利用可能 2026年9月で終了

9.令和8年分の提出期限は2027年2月1日

令和8年分の法定調書については、提出期限にも注意しましょう。

令和8年分の法定調書の提出期限

2027年(令和9年)2月1日(月)

2027年1月31日は日曜日のため、令和8年分については2027年2月1日(月)が提出期限となります。

給与支払報告書についても、2027年2月1日までの提出となります。

10.中小企業・クリニックも30枚基準を確認

これまでの100枚基準では、電子提出義務をあまり意識していなかった中小企業やクリニックも多かったと思います。

しかし、30枚まで基準が下がることで、対象となる事業者の範囲が広がります。

特に次のような事業者は確認しておきましょう。

  • 従業員数が増えている会社
  • 複数拠点を運営する会社
  • 医療法人
  • 複数のクリニックを運営している医療機関
  • パート・アルバイトを多く雇用している事業者
  • 税理士などへの一定の報酬支払いが多い会社
  • 不動産関係の支払調書を多数提出している事業者

11.「従業員30人以上」という意味ではありません

「30枚以上」と聞くと、「従業員が30人未満だから関係ない」と思われるかもしれません。

しかし、判定基準となるのは単純な現在の従業員数ではなく、前々年に提出すべきだった同じ種類の法定調書の枚数です。

現在の従業員数だけを見て対象外と判断しないようにしましょう。

12.年末調整前に会社が確認したい5つのポイント

① 2025年に提出すべきだった法定調書の枚数を確認する

② 法定調書の種類ごとに30枚以上に該当するか確認する

③ 給与支払報告書の電子提出方法を確認する

④ 給与計算・年末調整ソフトが新しい提出方法に対応しているか確認する

⑤ 給与以外に税務署へ提出すべき法定調書がないか確認する

特に給与計算ソフトや年末調整ソフトを利用している会社は、2027年1月提出分への対応状況をソフト会社に確認しておくことをおすすめします。

13.電子化を経理業務の効率化につなげる

電子提出義務の拡大というと、「また会社の事務負担が増えるのでは?」と感じる経営者の方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、今回の変更を経理業務を見直すきっかけにすることもできます。

給与計算から年末調整、給与支払報告書の作成、電子提出までを一連のデータで処理できる体制にすれば、

  • 紙への印刷
  • 手入力・転記
  • 書類の仕分け
  • 郵送作業
  • 紙資料の保管

などを減らせる可能性があります。

単に30枚基準へ対応するだけでなく、年末調整から法定調書提出までの業務フロー全体を効率化できないかという視点で検討してみましょう。

14.税理士としての「次の一手」

今回の改正をきっかけに、次の3点まで確認することをおすすめします。

  • 給与計算・年末調整・電子申告の連携ができているか
  • 同じ情報を複数回入力する二重入力が残っていないか
  • 年末調整から法定調書提出までを担当者だけに依存しない仕組みにできないか

電子提出への切替えを単なる制度対応で終わらせず、経理の省力化・標準化・ミス削減まで進めるのが「次の一手」です。

15.まとめ|2027年1月の改正に向けて今から準備を

【今回の重要ポイント】

① 2027年1月1日以後に提出する法定調書から、電子提出義務の基準が100枚以上から30枚以上へ引き下げ

② 30枚基準は法定調書の種類ごとに判定

③ 2027年提出分については、原則として2025年に提出すべきだった枚数で判定

④ 2027年1月から給与所得の源泉徴収票のみなし提出がスタート

⑤ 一定の給与支払報告書を市区町村へ提出すれば、税務署にも給与所得の源泉徴収票を提出したものとみなされる

⑥ 従業員本人への源泉徴収票の作成・交付は引き続き必要

⑦ 給与所得の源泉徴収票のみの場合、一定の条件のもと法定調書合計表についても税務署への提出が不要になる

⑧ 従来のeLTAXによる電子的提出の一元化機能は2026年9月で終了

⑨ 令和8年分の法定調書の提出期限は2027年2月1日(月)

今回の改正では、電子提出義務の基準が100枚から30枚へ大きく引き下げられます。

これまで紙で法定調書を提出していた中小企業やクリニックも、対象になる可能性があります。

年末調整が本格化してから慌てないためにも、2025年の提出状況と現在利用している給与・年末調整システムを今のうちに確認しておきましょう。

参考資料・出典

本記事は、国税庁が公表している以下の一次資料等を確認したうえで、制度内容を独自に整理・解説しています。

  • 国税庁「令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」
  • 国税庁「法定調書のe-Tax等による提出義務化について」
  • 国税庁「給与所得の源泉徴収票の税務署への提出が不要になります」等、源泉徴収票のみなし提出に関する案内・Q&A

※本記事は2026年10月時点で公表されている国税庁資料をもとに作成しています。実際の提出時には、国税庁・e-Tax・eLTAX等の最新情報をご確認ください。

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今回の法定調書の電子化は、単なる制度対応だけで終わらせる必要はありません。

給与計算、年末調整、法定調書、経理業務まで含めて業務フローを見直すことで、会社の事務負担を減らせる可能性があります。

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一ノ瀬公認会計士・税理士事務所
【超提案型】公認会計士・税理士 一ノ瀨 聡

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