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【2026年最新】歯科医院の経営状況を国が調査|診療報酬改定後、売上・人件費・利益はどう変わった?医療機関専門税理士が解説

2026.09.29

【歯科医院の経営状況を国が調査】診療報酬改定後、歯科医院経営はどう変わった?医療機関専門税理士が解説

厚生労働省は、「令和8年度 医療機関等の経営状況に係る臨時調査」を実施しています。

今回の調査で注目したいのは、診療報酬改定後、実際に医療機関の経営がどう変化したのかという点です。

歯科医院の院長先生に確認していただきたいポイント

① 売上は増えたのか
② 人件費はどのくらい増えたのか
③ 歯科材料費・技工料はどう変わったのか
④ 売上の伸びが経費の増加を上回っているか
⑤ 最終的に利益が増えているか
⑥ 預金残高は増えているか

診療収入が増えていても、人件費や材料費などがそれ以上に増えていれば、医院に残る利益は減少します。

そこで今回は、厚生労働省が公表している調査内容を確認したうえで、医療機関を支援する税理士・公認会計士の視点から、歯科医院が今確認しておきたい経営数字を解説します。

1.厚生労働省が医療機関の経営状況を調査

厚生労働省は、令和8年度診療報酬改定後の医療機関等の経営状況を把握するため、臨時調査を実施しています。

対象には、病院、一般診療所、歯科診療所、保険薬局が含まれています。

歯科診療所については、調査対象となった施設について、主に

令和7年6月~9月
令和8年6月~9月

の経営状況を比較します。

同じ時期を比較することで、季節変動の影響をある程度抑えながら、診療収入や費用などがどのように変化したのかを確認しやすくなります。

電子調査票の提出期限は、2026年11月10日とされています。

なお、すべての歯科医院が回答する調査ではなく、調査対象となる施設が抽出されています。

2.今回の調査から考えたい「歯科医院経営の変化」

歯科医院の経営を見るとき、診療報酬の改定だけを見ていてはいけません。

なぜなら、医院経営には同時にさまざまなコストが発生しているからです。

  • スタッフの給与・賞与
  • 社会保険料
  • 歯科材料費
  • 歯科技工料
  • 水道光熱費
  • 医療機器の保守費用
  • システム利用料
  • 家賃
  • 借入金返済

したがって重要なのは、


「売上が増えたか」だけではなく、
「利益と現金が増えたか」まで確認すること

です。

3.まず「売上」を前年同期と比較する

最初に確認したいのが、医業収益、つまり医院の売上です。

令和7年6~9月と令和8年6~9月を比較してみましょう。

ただし、単純に「前年比○%増加」で終わらせないことが重要です。

売上を次のように分解すると、経営改善のヒントが見つかりやすくなります。

【売上を分解してチェック】

・延べ患者数
・新患数
・患者1人当たり売上
・保険診療収入
・自費診療収入
・メンテナンス患者数
・キャンセル率

例えば、売上が5%増えている場合でも、患者数が5%増えた医院と、患者数は変わらず患者単価が5%上がった医院では、今後取るべき戦略が異なります。

4.人件費は「金額」だけでなく「人件費率」で見る

次に確認したいのが人件費です。

歯科医院では、歯科衛生士、歯科助手、受付スタッフなど、人材の確保が経営上非常に重要です。

そのため、給与水準の見直しや採用強化によって人件費が増加することがあります。

ここで確認したいのが、次の指標です。

人件費率 = 人件費 ÷ 医業収益 × 100

例えば、

売上 +3%
人件費 +8%

となっていれば、人件費率が上昇している可能性があります。

ただし、ここで注意したいのは、人件費が増えること自体が悪いわけではないということです。

例えば歯科衛生士を増員した結果、メンテナンス枠が増加し、患者数や売上が継続的に伸びるのであれば、人件費の増加は将来の収益につながる投資とも考えられます。

重要なのは、人員増加が医院の生産性向上につながっているかです。

5.歯科材料費・技工料も前年同期と比較する

歯科医院では、人件費とともに材料費や歯科技工関連費用も重要です。

確認したいのは、単純な金額だけではありません。

材料費率 = 歯科材料費 ÷ 医業収益

技工料率 = 歯科技工関連費用 ÷ 医業収益

売上に対して材料費や技工料の割合が上昇していないかを確認します。

特に自費診療については、価格設定を長期間変更していない医院は注意が必要です。

例えば、自費診療の価格を決めるときには、

  • 材料原価
  • 技工料
  • 歯科医師の診療時間
  • スタッフの対応時間
  • 決済手数料
  • 再製作などのリスク

まで考えて、十分な利益が確保できているかを確認する必要があります。

6.「売上が過去最高」でも安心できない理由

院長先生から、

「今年は過去最高売上になりました」

というお話を聞くことがあります。

もちろん、売上が増えること自体はプラスです。

しかし、例えば前年同期と比較して、

売上 +5%
人件費 +8%
材料費 +7%
技工料 +10%
その他経費 +6%

となっている場合、売上は過去最高でも利益率が低下している可能性があります。

だからこそ、歯科医院経営では、

売上 → 経費 → 利益 → 現金

の順番で数字を見ることが重要です。

7.利益が出ていても「現金」が減っていないか?

さらに注意したいのが、利益と現金は同じではないということです。

決算書上では利益が出ていても、預金残高が増えていないケースがあります。

代表的なのが借入金の返済です。

借入金の元本返済は、原則として損益計算書上の経費にはなりません。しかし、実際には銀行口座から現金が出ていきます。

さらに、

  • CT
  • 診療ユニット
  • CAD/CAM関連設備
  • レセコン・予約システム
  • 内装工事

などへの設備投資が重なると、黒字でも現金預金が減少することがあります。

そのため当事務所では、損益計算書だけではなく、現金預金、借入金、年間返済額、設備投資まで含めてキャッシュフローを確認することを重視しています。

8.歯科医院なら最低限この「8項目」を確認

今回の厚生労働省の調査対象になっていない歯科医院でも、この機会に前年同期比較をしてみてはいかがでしょうか。

歯科医院の経営チェック8項目

① 医業収益
前年同期からどれだけ増減したか

② 患者数・新患数
売上増減の原因は患者数なのか

③ 患者1人当たり売上
診療単価に変化があるか

④ 人件費・人件費率
売上以上のペースで増加していないか

⑤ 歯科材料費・材料費率
材料価格上昇の影響を受けていないか

⑥ 技工料・技工料率
売上とのバランスが崩れていないか

⑦ 医業利益・利益率
売上増加が本当に利益につながっているか

⑧ 現金預金・借入金・返済余力
利益が実際の資金増加につながっているか

9.数字が悪化していたら「経費削減」だけで終わらせない

利益が減少すると、最初に「経費を削減しよう」と考えがちです。

しかし、歯科医院の場合、過度な経費削減によってスタッフ不足や患者サービスの低下につながれば、逆効果になることもあります。

例えば人件費率が上昇しているのであれば、スタッフ削減だけではなく、

  • 歯科衛生士のアポイント枠を最適化する
  • メンテナンス移行率を確認する
  • キャンセル率を下げる
  • リコール率を改善する
  • 新患から継続患者への移行状況を確認する
  • 自費診療の説明方法を改善する
  • ホームページからの新患獲得を強化する
  • Googleマップ・口コミ対策を見直す
  • 予約枠とスタッフ配置を見直す

など、現在の人員を活かして売上・利益を増やす方法も検討すべきです。

当事務所では、単に「経費が高いですね」で終わるのではなく、数字が悪化した原因を確認し、その原因に対する具体的な改善策まで考えることを重視しています。

10.「会計データ」と「診療データ」を組み合わせると経営が見える

さらに一歩踏み込むなら、試算表だけを見るのではなく、診療データと組み合わせます。

【会計データ】
売上・人件費・材料費・技工料・利益・現金預金

+

【診療データ】
患者数・新患数・診療単価・リコール率・キャンセル率・自費率など

この2つを組み合わせることで、

「なぜ売上が増えたのか」
「なぜ利益が減ったのか」
「次に何を改善すべきなのか」

が見えやすくなります。

試算表を作るだけでは、経営は改善しません。

数字を「次の行動」に変えることが重要です。

まとめ|診療報酬改定後こそ「売上・利益・現金」を確認

厚生労働省による「令和8年度 医療機関等の経営状況に係る臨時調査」は、診療報酬改定後の医療機関等の経営状況を把握するために実施されています。

歯科医院の院長先生にとっても、自院の経営を前年同期と比較する良い機会です。

特に確認したい3つのポイント

① 売上は増えているか
↓
② 売上以上に経費が増えていないか
↓
③ 最終的に利益と現金が残っているか

そして問題が見つかった場合には、単なる経費削減ではなく、患者数、診療単価、リコール、予約枠、自費診療、人員配置などまで踏み込んで改善策を考えることが重要です。

歯科医院の数字は、税金を計算するためだけのものではありません。

経営を改善するために使うものです。

当事務所では、試算表や決算書を作成して終わるのではなく、財務分析、資金繰り、節税、売上アップ、経費削減まで含め、院長先生と一緒に「次の一手」を考えます。


参考資料・出典

本記事の制度・調査に関する事実確認には、主に以下の厚生労働省公表資料を使用しています。

  • 厚生労働省「令和8年度 医療機関等の経営状況に係る臨時調査について」
  • 厚生労働省「令和8年度 医療機関等の経営状況に係る臨時調査」関連資料・調査票
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」

※本記事は、2026年9月29日時点で厚生労働省等が公表している一次情報を確認したうえで、一ノ瀬公認会計士・税理士事務所が独自に構成・執筆したものです。行政資料の文章を転載することを目的としたものではなく、歯科医院経営における財務・経営上のポイントについて当事務所独自の視点から解説しています。制度や取扱いについては、今後変更される可能性があります。


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一ノ瀬公認会計士・税理士事務所
【超提案型】公認会計士・税理士 一ノ瀨 聡

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