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【2026年10月1日改定】中小企業活性化協議会の支援ルートを税理士が解説

2026.10.09
【2026年10月1日改定】中小企業活性化協議会の支援ルート 一ノ瀬公認会計士・税理士事務所

【2026年10月1日改定】中小企業活性化協議会の支援ルート|資金繰り・返済の相談を税理士が解説

2026年10月1日から、中小企業活性化協議会の「収益力改善支援(金融支援あり)」が廃止されました。

一方、収益力改善支援(金融支援なし)や、プレ再生支援・再生支援などは引き続き利用できます。借入返済に困っている経営者は、「返済条件の変更が必要か」「事業を立て直す見込みがあるか」を整理し、自社に合った支援を相談しましょう。

「売上はあるのに、預金が減り続けている」「銀行の返済が重い」「経営改善計画を求められたが、何から始めればよいか分からない」。このような悩みの相談先の一つが、中小企業活性化協議会です。

今回の改定を受けて、経営者が確認したいのは、支援メニューの名称だけではありません。自社の資金繰りにどの支援が合うのか、いつ相談するのかが大切です。

この記事では、2026年10月8日時点の公表資料をもとに、10月1日からの変更点と相談の進め方を解説します。

1.10月1日から何が変わったのか

廃止されたのは、従来、最長1年間のリスケジュールなどの金融支援に対応していた「収益力改善支援(金融支援あり)」です。リスケジュールとは、金融機関と合意して借入金の返済時期や毎月の返済額などを変更することです。

「金融支援あり」の廃止によって、協議会で借入返済の相談ができなくなるわけではありません。今後は、企業の状態に応じて、既存のプレ再生支援・再生支援や、専門家を活用する経営改善計画策定支援などを検討します。

表1 2026年の主な改定と適用日の違い
支援メニュー 適用日 主な変更点
収益力改善支援 2026年10月1日 金融支援ありのメニューを廃止。金融支援なしのメニューは継続。
再生支援 2026年3月31日 伴走支援の強化、プレ再生支援における出口の明確化など。
Vアップ事業 金融機関以外の支援は2026年3月31日。金融機関による支援は2026年5月1日。 補助上限額の引上げ、実態貸借対照表の追加など。
405事業・通常枠 2026年5月1日 計画の数値基準の導入、対象となる金融支援の見直しなど。

今回の変更は、支援事業の実施要領等の改定です。すべての変更が10月1日に始まったわけではありません。

2.中小企業活性化協議会とは

中小企業活性化協議会は、全国47都道府県に設置された公的な支援機関です。財務上の課題を抱える中小企業・小規模事業者に対し、収益力改善、事業再生、廃業・再チャレンジなどを支援します。

  • 窓口相談は無料:相談内容や資料から、課題と支援の方向性を整理します。
  • 秘密を守って対応:企業の経営状況などを慎重に取り扱います。
  • 金融機関との調整を支援:支援の内容に応じて、金融機関との合意形成をサポートします。

ただし、協議会は自ら融資を行う銀行ではありません。また、計画策定などで外部専門家の支援を受ける場合には、費用の一部を負担することがあります。

3.自社の状態から考える支援ルート

最初から制度名を決める必要はありません。返済条件の変更が必要か、事業に収益性があるか、どの程度の専門家支援が必要かを窓口で相談します。

次の表は、相談先を考えるための目安です。各制度に対象要件があり、協議会による支援と、認定経営革新等支援機関による計画策定費用の補助は、仕組みが異なります。

表2 経営状態別に相談したい主な支援ルート
経営状態・悩み 検討する支援 相談のポイント
利益率が低下し、早めに改善したい 収益力改善支援(金融支援なし) 事業の課題と改善行動を整理する。返済条件変更を組み込む旧メニューとは区別する。
資金繰り・採算管理を専門家と整えたい 早期経営改善計画策定支援(Vアップ事業) リスケジュール等の金融支援を必要としない段階で、計画策定や伴走支援を検討する。
返済条件の変更などを伴う改善計画が必要 経営改善計画策定支援(405事業・通常枠) 認定支援機関と主要金融機関の協力を得て、適用要件を確認する。
本格的な再生計画へつなぐ支援が必要 プレ再生支援 将来の本格的な再生に向け、改善の道筋と次の段階を整理する。
事業の収益性はあるが、過大な債務が重い 再生支援 事業と財務の両面を見直し、金融機関との調整を含む再生計画を検討する。
事業継続が難しく、保証債務も心配 再チャレンジ支援 円滑な廃業や経営者・保証人の再スタートについて相談する。

すべての企業が上から順番に利用する仕組みではなく、旧メニューから特定の制度へ自動的に移るわけでもありません。すでに支援を受けている企業は、現在の計画や伴走支援の取扱いを担当協議会へ確認してください。

「新規融資」と「金融支援」は区別する

これらの制度で使う「金融支援」は、日常的な「お金の支援」と必ずしも同じ意味ではありません。

Vアップ事業では、新規融資や借換融資を計画に織り込むことが可能です。一方、405事業・通常枠では、新規融資や借換融資だけでは、対象となる金融支援に該当しません。銀行から計画提出を求められた場合も、その目的を確認する必要があります。

4.専門家費用の補助はある?

認定経営革新等支援機関の支援を受けるVアップ事業や405事業には、所定の要件のもとで専門家費用の一部を補助する仕組みがあります。

表3 計画策定等の費用補助の主な内容
事業・費用区分 補助割合 補助上限額
Vアップ事業・通常枠:計画策定支援 対象費用の3分の2 50万円
Vアップ事業・通常枠:伴走支援 対象費用の3分の2 30万円
405事業・通常枠:DD・計画策定支援 対象費用の3分の2 200万円
405事業・通常枠:伴走支援 対象費用の3分の2 100万円

DDとは、事業や財務の実態を調べることです。上限額は費用区分ごとに設定されており、表の金額が一律に支給されるわけではありません。

例えば、Vアップ事業で補助対象と認められる計画策定費用が60万円であれば、補助額は40万円、対象費用に対する自己負担は20万円となる計算です。実際には、対象費用の範囲、税の取扱い、申請・支払条件等を確認します。

補助を前提に計画策定を始める前に、協議会へ相談してください。過去の利用歴や金融機関の関与なども確認が必要です。405事業では、最終的に必要な金融支援を得られなかった場合、補助を受けられない点にも注意しましょう。

5.クリニック・歯科医院も相談できる?

個人事業のクリニック・歯科医院は、事業者規模などの要件を確認したうえで相談を検討できます。

また、再生支援のQ&Aでは、常時使用する従業員数が300人以下の医療法人も対象とされています。Vアップ事業・405事業の資料でも、一定の医療法人を対象とする取扱いが示されています。実際の利用可否は、選択する制度の要件に照らして確認してください。

なお、社会福祉法人や学校法人などは、対象外となる法人形態として挙げられています。「医療・介護・教育に関係する事業だから対象になる」と一括りにはできません。

院長先生には、例えば次の項目を整理することをおすすめします。

  • 診療収入:保険診療・自費診療別の推移と、実際の入金時期。
  • 人件費:給与、賞与、社会保険料を含む支払負担。
  • 材料費・外注費:歯科技工料、医療材料費、検査委託費などの増減。
  • 設備負担:医療機器の借入返済、リース料、更新予定。
  • 返済余力:納税や設備更新に必要なお金を確保した後、返済に回せる金額。

売上の回復策と返済負担の調整を、同じ資金繰り表で検討することが重要です。

6.具体例:利益が出ていても、返済で預金が減る会社

次のような会社を考えてみます。これは相談の必要性を説明するための仮定例で、制度の採択基準ではありません。

  • 期首の現金預金:600万円
  • 年間の税引後利益:300万円
  • 年間の減価償却費:200万円
  • 年間の借入元金返済:720万円

運転資金や設備投資などの変動を考慮しない簡易計算では、300万円+200万円-720万円=年間220万円の資金減少となります。

利益が出ているだけでは、現在の返済を続けられるとは限りません。売掛金、在庫、税金の実際の支払時期などを反映した資金繰り表で、預金が不足する時期を確認します。

返済条件の変更が必要と分かった場合は、金融機関や協議会に相談し、405事業やプレ再生支援・再生支援などの適否を検討します。どの支援に該当するかは、数字だけでなく事業の見通しや金融機関との関係も踏まえて判断されます。

7.相談前に準備したい資料と今日やること

制度選びの前に、次の資料をそろえましょう。具体的な必要書類は相談先へ確認してください。

  • 直近3期分の決算書・申告書:利益、債務、資産の変化を把握します。
  • 最新の試算表:決算後の売上・利益の変化を確認します。
  • 今後6~12か月の資金繰り表:納税、賞与、返済、設備投資を反映します。
  • 借入金一覧表:金融機関ごとの残高、金利、毎月返済額、担保・保証、条件変更の有無をまとめます。
  • 事業概要と改善案:主力商品・サービス、顧客、赤字の原因、改善策を整理します。

今日行う第一歩は、現在の預金残高と、今後3か月の入出金予定を並べることです。資金不足が予想される場合は、すべての資料の完成を待たず、顧問税理士・金融機関・協議会に相談しましょう。

8.大阪・堺市の事業者はどこへ相談する?

大阪府内の事業者は、大阪府中小企業活性化協議会への相談を検討できます。堺市の事業者も対象地域に含まれます。

経営相談の窓口と、費用補助の申請窓口は連絡先が異なります。経営状態や返済について相談したい場合は、まず経営改善・事業再生の相談窓口へ連絡してください。

9.税理士として提案したい「次の一手」

返済額の調整と並行して、返済を続けられるだけの収益と現金を生み出す仕組みを整えましょう。

  • 赤字の原因を分ける:売上不足、粗利率低下、固定費増加、返済負担を分けて対策を決めます。
  • 改善策に担当者と期限を設定:価格・仕入条件・外注費・予約枠など、具体的な行動に落とし込みます。
  • 毎月、計画と実績を比較:売上、利益、現預金、返済額の差を確認し、資金繰り予測を更新します。
  • 金融機関への説明資料を統一:試算表、資金繰り表、借入金一覧表を同じ基準で更新します。

クリニック・歯科医院では、予約キャンセルや空き枠の把握、診療内容ごとの採算確認、材料・外注費の管理なども改善策の候補になります。診療の必要性や医療の質を守りながら検討することが前提です。

資金繰りが厳しいときは、節税のための支出を増やす前に、手元資金への影響を確かめましょう。

10.まとめ:支援ルートは、返済と事業の状態から選ぶ

  • 2026年10月1日から「収益力改善支援(金融支援あり)」が廃止されました。
  • 金融支援なしの収益力改善支援や、プレ再生支援・再生支援などは続いています。
  • Vアップ事業と405事業は、金融支援の必要性などを踏まえて使い分けます。
  • 窓口相談は無料ですが、専門家費用や補助の要件は別途確認が必要です。
  • 資金が不足する前に、資金繰り表と借入金一覧表を用意して相談しましょう。

参考資料・出典

※本記事は2026年10月8日時点の公表資料に基づき、制度の概要を独自の文章で整理したものです。具体例は仮定に基づく簡易計算です。実際の支援・補助の適用については、担当協議会、金融機関、認定経営革新等支援機関等へ個別にご確認ください。

資金繰り・経営改善のご相談について

「現在の返済を続けられるか確認したい」「銀行に提出する計画を整理したい」「自社に合う支援制度を知りたい」。このような場合は、まず決算書・試算表・借入金の資料をもとに、現状と改善の方向性を整理しましょう。

融資による資金調達については、モニタリング強化型特別保証制度の解説記事もご覧ください。本記事の経営改善・再生支援とは別の制度です。

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一ノ瀬公認会計士・税理士事務所
【超提案型】公認会計士・税理士 一ノ瀨 聡

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