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【2026年4月改正】通勤手当の非課税限度額|駐車場・駐輪場代は月5,000円まで?税理士が解説

2026.10.07
【2026年4月改正】通勤手当の非課税限度額|駐車場・駐輪場代は月5,000円まで?税理士が解説

【2026年4月改正】通勤手当の非課税限度額|駐車場・駐輪場代は月5,000円まで?

2026年(令和8年)4月から、マイカーや自転車などで通勤する従業員に支給する「通勤手当の非課税限度額」が改正されました。

今回の改正で特に注目したいのが、一定の駐車場・駐輪場などの料金について、月5,000円を上限として非課税限度額に加算できるようになったことです。

「会社近くの月極駐車場は対象になる?」
「駅前の駐輪場も対象?」
「自宅近くで借りている駐車場は?」
「会社が駐車場を直接契約している場合は?」

このような疑問を持つ経営者や給与計算担当者も多いと思います。

【結論】

2026年4月1日以後に支払われるべき通勤手当から、一定の要件を満たす勤務先周辺や駅・停留所などの周辺にある駐車場・駐輪場について、1か月当たりの料金相当額のうち5,000円を上限として、従来の距離別非課税限度額に加算できるようになりました。

ただし、自宅付近の駐車場は対象外です。また、交通用具を使用する片道通勤距離が2km未満の場合も対象外となります。

1.2026年4月から通勤手当の非課税制度が改正

会社が従業員へ支給する通勤手当は、一定の限度額まで所得税がかからない「非課税」とされています。

2026年度税制改正では、自動車や自転車などの交通用具を使って通勤する給与所得者について、主に次の2点が改正されました。

改正項目 改正前 2026年4月以後
片道65km以上の交通用具通勤 片道55km以上は月38,700円が上限 65km以上をさらに区分し、最大月66,400円へ引上げ
一定の駐車場・駐輪場等 独立した加算制度なし 料金相当額を月5,000円まで距離別非課税限度額に加算可能

適用されるのは、原則として2026年4月1日以後に支払われるべき通勤手当です。

2.マイカー・自転車通勤の非課税限度額はいくら?

2026年4月以後の、自動車・自転車などの交通用具を利用する場合の基本的な非課税限度額は次のとおりです。

片道の通勤距離 1か月当たりの非課税限度額
2km未満 全額課税
2km以上10km未満 4,200円
10km以上15km未満 7,300円
15km以上25km未満 13,500円
25km以上35km未満 19,700円
35km以上45km未満 25,900円
45km以上55km未満 32,300円
55km以上65km未満 38,700円
65km以上75km未満 45,700円
75km以上85km未満 52,700円
85km以上95km未満 59,600円
95km以上 66,400円

今回新しく設けられた駐車場等の加算は、一定の要件を満たした場合、この距離別非課税限度額に最大5,000円を加算する仕組みです。

3.駐車場代は月5,000円まで非課税になる?

ここが今回の改正で最も重要なポイントです。

自動車や自転車などを通勤に使用することを常例とする人が、一定の要件を満たす駐車場等を利用し、その料金を負担することを常例としている場合には、

「通勤距離に応じた非課税限度額 + 1か月当たりの駐車場等の料金相当額(上限5,000円)」

までが非課税限度額となります。

ただし、「駐車場代なら何でも5,000円まで非課税」という制度ではありません。

4.どこの駐車場なら対象になる?

対象になるのは、通勤に使用する自動車・自転車・バイクなどを駐車するための施設で、一定の場所にあるものです。

駐車場・駐輪場の場所 5,000円加算の対象 ポイント
勤務先周辺の駐車場 対象になり得る 通勤に使う交通用具を駐車するためのもの
駅周辺の駐車場・駐輪場 対象になり得る 自転車・車から電車等へ乗り継ぐ場合など
停留所周辺の駐車場・駐輪場 対象になり得る バス等へ乗り継ぐ場合など
フェリー乗り場・空港周辺 対象になり得る 国税庁Q&Aで「その他の施設」の例として示されている
自宅付近の駐車場 対象外 今回新設された駐車場等加算の要件を満たさない

注意!自宅近くの月極駐車場は対象外です

「自宅に駐車スペースがないので、自宅近くで月極駐車場を借りている」という場合でも、その自宅付近の駐車場代は、今回新設された月5,000円の加算対象にはなりません。

5.自転車・バイクの駐輪場代も対象

今回の「駐車場等」は、自動車の駐車場だけではありません。

通勤のために使用する自転車やバイクの駐輪場も対象です。

例えば、自宅から駅まで自転車で移動し、駅前の有料駐輪場へ自転車を停め、その後電車で会社へ向かうケースが考えられます。

一定の要件を満たせば、その駐輪場料金についても、月5,000円の範囲内で非課税限度額の計算に含めることができます。

6.複数の駐車場・駐輪場を使った場合は?

通勤のために複数の対象駐車場等を利用している場合、それぞれが「一定の要件を満たす駐車場等」に該当すれば、その料金を合計して判定します。

ただし、非課税限度額への加算は合計で月5,000円までです。

例えば、対象となる駐輪場が月2,000円、別の対象駐車場が月4,000円の場合、料金の合計は6,000円ですが、非課税限度額に加算できる金額は5,000円までとなります。

7.月極駐車場だけが対象ではない

国税庁Q&Aでは、「1か月当たりの駐車場等の料金相当額」の具体的な計算方法も示されています。

例えば、月単位で料金が設定されている場合はその月額料金が基本となり、複数月分をまとめて支払う契約や利用の都度料金を支払う場合などについても、実際の契約内容や利用状況に基づいて1か月当たりの料金相当額を計算します。

したがって、「月極契約でなければ対象にならない」という制度ではありません。

実際の適用に当たっては、契約形態や利用状況に応じて個別に判断することが重要です。

8.片道2km未満なら駐車場代の加算も使えない

もう一つ重要なのが「片道2km」です。

自動車や自転車などの交通用具を使用する通勤距離が片道2km未満の場合、距離別の通勤手当は全額課税となります。

さらに今回の駐車場等の加算についても、交通用具を使用する通勤距離が片道2km未満である人は対象外です。

片道2km未満の場合、「駐車場代だけ5,000円まで非課税」とすることもできません。

9.具体例|片道20km・駐車場代8,000円の場合

例えば、従業員が自動車で片道20km通勤し、勤務先周辺の対象となる月極駐車場を月8,000円で利用しているとします。

計算項目 金額 計算内容
距離別非課税限度額 13,500円 片道15km以上25km未満
実際の駐車場料金 8,000円 勤務先周辺の対象駐車場を想定
駐車場等の加算額 5,000円 加算上限が5,000円のため
合計非課税限度額 18,500円 13,500円+5,000円

この場合、一定の要件を満たせば、距離別の13,500円に駐車場分5,000円を加えた月18,500円が非課税限度額となります。

なお、実際の非課税額は、会社が実際に支給する通勤手当の額などによっても異なります。

10.会社が駐車場を直接契約している場合も注意

「会社が直接駐車場を契約しているので、通勤手当とは関係ない」と考えるのも注意が必要です。

国税庁Q&Aでは、従業員が選んだ会社付近の駐車場について、会社が従業員に代わって契約し駐車場代を負担しているケースも示されています。

このようなケースについても、実質的には駐車場等の料金相当額の通勤手当を支給しているものとして、非課税限度額を判定する場合があります。

したがって、会社が直接支払っているからといって、必ず全額が非課税になるとは限りません。

11.契約書や領収書の提出は必要?

国税庁Q&Aでは、駐車場等の料金が記載された契約書や領収書等を従業員から提示させること自体は、法令上求められているものではないとされています。

一方で、会社は非課税限度額を正しく計算するため、1か月当たりの駐車場等の料金相当額を把握する必要があります。

そのため実務上は、次のような情報を確認・保存できる社内ルールを設けておくことをおすすめします。

  • 駐車場・駐輪場の所在地
  • 月額料金
  • 契約内容
  • 領収書や利用明細
  • 従業員の通勤経路
  • 交通用具を使用する片道距離
  • 交通手段
  • 料金や通勤経路が変更された場合の届出

税務上だけでなく、給与計算のミスや従業員間の取扱いの不公平を防ぐ意味でも重要です。

12.クリニック・歯科医院も通勤手当規程を確認

今回の改正は一般企業だけでなく、クリニックや歯科医院にも関係します。

医療機関では、スタッフが自動車・バイク・自転車で通勤しているケースも多く、医院周辺の月極駐車場や駅前駐輪場を利用していることもあります。

特に次のようなスタッフがいないか確認してみましょう。

  • マイカーで通勤しているスタッフ
  • 医院周辺の月極駐車場を自己負担しているスタッフ
  • 自転車で駅まで行き、駅前駐輪場を利用しているスタッフ
  • 自動車・自転車と電車など複数の交通手段を組み合わせているスタッフ
  • 医院がスタッフ用駐車場を個別に契約しているケース

スタッフ数が多い医療法人では、1人ずつその都度判断するのではなく、「通勤経路・交通用具を使う距離・交通手段・駐車場所在地・月額料金」を一覧化しておくと管理しやすくなります。

13.今から会社がやるべきこと

確認手順 確認する内容 実務対応
STEP1 交通用具利用者を抽出 車・バイク・自転車通勤者を一覧化
STEP2 通勤距離を確認 特に片道2km未満・65km以上を確認
STEP3 駐車場等の利用状況を確認 所在地・料金・利用目的を確認
STEP4 非課税限度額を再計算 距離別限度額+対象駐車場等料金を計算
STEP5 社内規程を確認 必要に応じて通勤手当規程・申請書を見直す

14.税理士としての「次の一手」

今回の改正は、単に給与計算ソフトの非課税限度額を変更するだけで終わらせないことをおすすめします。

この機会に、全従業員の「通勤手当の棚卸し」をしてみてはいかがでしょうか。

例えばGoogleスプレッドシートなどで、

  • 従業員名
  • 通勤手段
  • 交通用具を使用する片道距離
  • 公共交通機関の定期代
  • 駐車場・駐輪場所在地
  • 駐車場・駐輪場料金
  • 会社支給額
  • 税法上の非課税限度額
  • 課税対象額

を一覧管理しておけば、給与計算担当者が変わっても判断基準を統一しやすくなります。

さらに、採用時や通勤方法変更時に提出する「通勤手当申請書」に、駐車場・駐輪場の所在地や料金を記入する欄を追加しておけば、制度への対応と業務効率化を同時に進めることができます。

税制改正をきっかけに、給与計算・通勤手当管理そのものを標準化することが「次の一手」です。

15.まとめ|駐車場・駐輪場代は「場所」と「2km」に注意

2026年4月の改正では、自動車等で長距離通勤する人の非課税限度額が引き上げられただけでなく、一定の駐車場・駐輪場等の料金について月5,000円を上限に非課税限度額へ加算できる制度が新設されました。

特に覚えておきたいポイントは次のとおりです。

  • 2026年4月1日以後に支払われるべき通勤手当から適用
  • 対象となる駐車場等の料金相当額の加算上限は月5,000円
  • 勤務先周辺の駐車場等は対象になり得る
  • 駅・停留所など交通機関の施設周辺の駐車場・駐輪場も対象になり得る
  • 自転車・バイクの駐輪場も対象
  • 自宅付近の駐車場は対象外
  • 交通用具を使用する片道通勤距離が2km未満の場合は駐車場等加算も対象外
  • 複数の対象駐車場等を利用する場合も、加算上限は合計で月5,000円

会社側は、給与計算ソフトの設定だけでなく、通勤手当規程や従業員から提出してもらう通勤手当申請書についても、この機会に確認しておきましょう。

参考・出典

本記事は、2026年10月7日時点で公表されている国税庁・財務省の一次情報を確認し、一ノ瀬公認会計士・税理士事務所が制度内容を独自に整理・解説したものです。

※本記事は一般的な税務情報の提供を目的としたものです。実際の非課税判定については、個々の通勤経路、交通手段、駐車場等の所在地、会社の支給方法、給与規程などによって判断が異なる場合があります。個別の適用については税理士等の専門家へご確認ください。


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