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【赤い羽根共同募金】約2.5億円の使途不明金問題とは?公認会計士・税理士が解説

2026.09.27
【赤い羽根共同募金】約2.5億円の使途不明金問題とは?公認会計士・税理士が解説

【赤い羽根共同募金】約2.5億円の使途不明金問題とは?公認会計士・税理士が「お金の管理」の重要性を解説

「赤い羽根共同募金」をめぐり、北海道共同募金会で多額の使途不明金が発生している問題が明らかになっています。

2026年6月に約1億8,000万円の使途不明金が明らかになり、その後、2026年9月には新たに約7,000万円の使途不明金が判明したと報じられました。

これにより、使途不明金として問題となっている金額は合計約2億5,000万円に達しています。

【最初に確認しておきたいポイント】

現時点で、約2億5,000万円のすべてについて、誰がどのように使用したのかが確定しているわけではありません。

北海道共同募金会では弁護士・公認会計士による第三者委員会が設置され、原因や関係者の関与、責任などについて調査が進められています。

そこで今回は、現在明らかになっている事実を整理したうえで、公認会計士・税理士の視点から、企業やクリニックにも共通する「会社のお金を守る仕組み」について解説します。

1.今回問題になっているのは「北海道共同募金会」

まず、誤解しないようにしておきたいのは、今回明らかになっている事案は、社会福祉法人北海道共同募金会で発生したものだということです。

「赤い羽根共同募金」全体について、全国で同様の使途不明金が発生したという意味ではありません。

北海道共同募金会によると、2026年2月に当時の事務局長に対する国税局の調査が行われ、その後、会計資料などを確認する過程で、組織にあるべき資金が不足している可能性が判明しました。

その後、調査や決算作業などが進められています。

2.使途不明金は約2億5,000万円に

2026年6月に問題が表面化した時点では、約1億8,000万円の使途不明金が明らかになっていました。

さらに2026年9月、2025年度の決算作業を進める中で、新たに約7,000万円について、支払いの内容や目的などを確認できない状態であることが判明したと報じられています。

これまでの約1億8,000万円と合わせると、約2億5,000万円となります。

ここは非常に重要です。

「使途不明金が約2億5,000万円ある」ということと、「特定の人物が約2億5,000万円を横領したことが確定した」ということは同じではありません。

現段階では、第三者委員会による調査結果を待つ必要があります。

3.元事務局長は懲戒解雇

北海道共同募金会は、当時の事務局長について、多額の使途不明金につながる経理処理等を理由として、2026年7月に懲戒解雇したことを公表しています。

一方、使途不明金についての具体的な関与や法的責任などについては、第三者委員会による調査対象となっています。

北海道共同募金会は、第三者委員会による調査結果を踏まえ、刑事告訴や損害賠償請求などを含めた対応を検討する方針を示しています。

4.弁護士・公認会計士による第三者委員会が調査

北海道共同募金会は、2026年9月11日に第三者委員会を発足させています。

委員には弁護士や公認会計士が入り、主に次のような事項が調査対象となっています。

  • 多額の使途不明金が発生した原因
  • なぜ長期間発見できなかったのか
  • 元事務局長の関与の有無や具体的な内容
  • 法的責任に関する検討
  • 役員・元役員の関与や責任の有無

つまり、この記事を掲載する2026年9月時点では、まだ調査の途中です。

今後公表される第三者委員会の調査結果によって、事実関係がさらに明らかになる可能性があります。

5.全国の共同募金会でも緊急点検

今回の問題を受け、中央共同募金会では各都府県共同募金会を対象として、出納業務に関する内部牽制体制について緊急一斉点検を実施しています。

中央共同募金会は、北海道共同募金会において内部牽制が十分に機能しなかったことを重く受け止め、再発防止に向けた取り組みを進めています。

今回の問題は、単に「1人の担当者の問題」として考えるだけではなく、組織としてお金をどのように管理・チェックするのかという問題でもあります。

6.公認会計士の視点|重要なのは「人を信頼すること」と「チェックすること」を分けること

ここからは今回の個別事案を離れ、公認会計士として一般的な内部管理について考えてみます。

中小企業やクリニックでは、経理担当者について、

「長年働いてくれているから大丈夫」
「家族だから任せている」
「信頼できる人だから全部任せている」

というケースがあります。

もちろん、人を信頼することは大切です。

しかし、人を信頼することと、お金をチェックする仕組みを作ることは別の問題です。

「信頼しているからチェックしない」ではなく、
「信頼しているからこそ、誰にでも確認できる仕組みにする」

これが内部管理の基本的な考え方です。

7.中小企業・クリニックで確認したい5つのポイント

① 通帳・銀行印・ネットバンキングの権限が1人に集中していないか

1人の担当者が、支払先の登録から振込、帳簿入力、銀行残高の確認まで、すべて完結できる状態になっていないでしょうか。

可能な範囲で権限を分けることが重要です。

② 振込を作成する人と承認する人を分ける

例えば、経理担当者が振込データを作成し、最終的な振込承認は社長や院長が行う方法があります。

ネットバンキングでも、作成権限と承認権限を分けられるサービスがあります。

③ 毎月、銀行残高と会計帳簿を照合する

会計ソフトの普通預金残高と、実際の銀行口座の残高が一致しているか確認します。

差額がある場合には、「そのうち合わせればいい」と放置せず、原因を確認することが大切です。

④ 経理担当者以外の人が確認する

担当者本人だけで会計処理を完結させないことも重要です。

社長、院長、別のスタッフ、顧問税理士など、別の人の目が入る仕組みを作ります。

⑤ 「内容が分からない勘定科目」を放置しない

例えば、次のような項目が長期間残っている場合には注意が必要です。

  • 仮払金
  • 立替金
  • 貸付金
  • 未収入金
  • 内容不明の雑費
  • 証憑が確認できない支払い

金額が大きいものや長期間残っているものについては、決算まで放置せず、月次段階で内容を確認することをおすすめします。

8.少人数の会社・クリニックでも内部統制はできる

中小企業やクリニックでは、

「大企業のように経理担当者を何人も置くことはできない」

という問題があります。

その通りです。

しかし、難しい制度を作らなくても、少し工夫するだけで管理体制は改善できます。

例えば、こんな仕組みです。

・振込データはスタッフが作成し、院長・社長が承認する
・一定金額以上の支払いは必ず代表者が確認する
・月末の銀行残高を代表者自身が確認する
・会計ソフトと銀行口座を連携する
・証憑を電子保存して後から確認できるようにする
・毎月、顧問税理士と預金残高を確認する
・仮払金や貸付金などの残高を毎月チェックする

これだけでも、ミスや不正が発生するリスクだけでなく、問題が長期間発見されないリスクを抑えることにつながります。

9.税理士は「税金の計算」だけを見るべきではない

今回の問題から、中小企業の経営者やクリニックの院長先生にもぜひ考えていただきたいことがあります。

月次試算表を見る目的は、税金を計算することだけではありません。

例えば、当事務所では数字を見る際、

  • 現金・預金はいくらあるのか
  • 銀行残高と帳簿は一致しているか
  • 売上・利益はどう推移しているか
  • 売掛金が異常に増加していないか
  • 仮払金・貸付金などに不自然な残高がないか
  • 借入金はいくら残っているのか
  • 毎月どれくらいキャッシュが増減しているのか
  • 今後の借入返済に問題がないか

といった点まで確認することが重要だと考えています。

決算書や試算表は、税務署へ提出するためだけの資料ではありません。

会社の異常を早く発見し、会社のお金を守り、経営判断につなげるための重要な資料でもあります。

10.今回の問題から経営者が学ぶべきこと

北海道共同募金会の使途不明金問題については、第三者委員会による調査が続いています。

したがって、現段階で特定の人物について、確定していない事実まで断定するべきではありません。

一方、中小企業や医療機関の経営者にとって、今回の問題から学べることはあります。

それは「人に依存した経理」から「仕組みで確認できる経理」へ変えていくことです。

会社が成長し、従業員が増えるほど、社長自身がすべてのお金を見ることは難しくなります。

だからこそ、会社が小さい段階から、誰か1人だけに依存しない仕組みを作っておくことが重要です。

まとめ|「信頼」と「チェック体制」は両立できます

北海道共同募金会では、2026年9月時点で合計約2億5,000万円の使途不明金が問題となっています。

一方、その全容については第三者委員会による調査が進められている段階です。

今回の事案を、中小企業やクリニックの経営に置き換えて考えると、重要なのは「誰が経理をしているか」だけではなく、「誰がチェックしているか」です。

経理担当者を疑うためにチェックするのではありません。

担当者を守り、経営者を守り、会社を守るためにチェックできる仕組みを作る。

この視点で、一度自社の経理体制を確認してみてはいかがでしょうか。


参考資料・出典

・社会福祉法人北海道共同募金会「本会に関する報道について」
・社会福祉法人北海道共同募金会「本会職員の懲戒解雇について」
・社会福祉法人北海道共同募金会「北海道共同募金会における使途不明金事案の発生に対する第三者委員会の設置について」(2026年9月10日)
・社会福祉法人北海道共同募金会「道民の皆様へ(お詫び)」
・社会福祉法人中央共同募金会「共同募金会における出納業務適正実施のための全国緊急一斉点検結果のご報告」(2026年7月17日)

※本記事は2026年9月27日時点で公表されている北海道共同募金会・中央共同募金会の資料および報道等を確認したうえで、公認会計士・税理士の視点から独自に構成・執筆しています。第三者委員会による調査が継続しているため、今後公表される調査結果等により事実関係が更新される可能性があります。


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一ノ瀬公認会計士・税理士事務所
【超提案型】公認会計士・税理士 一ノ瀨 聡

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